2021年5月29日土曜日

「かえるや」ができるまで ②

 2017~18年テーマを決めて構成を練る

 かえるの工作を絵本にするためには、まず最初に絵本のテーマを決めます。何を表現したいのか、読者に何を伝えたいのかを書き出します。それが決まってから、絵本作りにとりかかります。

 テーマが決まると、次に本の構成を考えます。ぼくの本作りで一番時間をかける作業になります。アイディアを練っていくつものラフを描きます。

 料理で例えるならば、最初の工作が素材集めです。次にテーマを決めて、その素材からどんな料理を作るか、和風、洋風、中華風などあらゆる料理を試します。一番テーマに合った料理の構成を考えて、どのような調理方法がベストなのか、具体的に作っていきます。


 構成を練っているときに絵本のタイトルが閃きました。「かえるや」です。それから、かえるやという謎の人物のイメージを思い浮かべました。その謎のかえるやは、どんな人物でいったいどんなかえるを作るのか?謎のかえるやは、ただのかえるは作らない。動くかえるや遊べるかえる、びっくりするようなかえるを作って、子どもたちを魅了します。

 妄想する時間はいくらあっても飽きません。著者にとって苦しい時間でもあり、楽しい時間にもなります。

 

 工作から始まった絵本ですが、物語に合わせてかえるの工作も変化します。一番最初に作ったシンプルなかえるも、完成品はせなかを擦ると鳴いて、おなかも膨らむかえるにアレンジしました。

 試作品の中で最後に生まれたのが、「おたまじゃくしはかえるのこ」です。童謡としても有名なこの歌詞を、おもちゃの形にできないかと考え作りました。こうして2018年にはたくさんの試作品の中から選び抜かれた4匹のかえるたちが誕生しました。


 この頃は大分県に移住していました。「かえるや」の工作に使う牛乳パックを探していて、目に止まったのがスーパーマーケットやコンビニで販売されていたみどり牛乳でした。緑色でシンプルなパッケージデザインの牛乳パックが、かえる工作にはぴったりだと思い九州乳業株式会社さんに協力をお願いしました。みどり牛乳との巡り合わせも、不思議なご縁だと思いました。


*絵本に載らなかった、かえるの試作品

0 件のコメント:

コメントを投稿