2014年11月13日木曜日

ジャムさんちの ふくぶくろ


 2年前にジャムさんちの「たからばこ」という絵本をだしましたが、この時は身近な空き箱で作って遊ぶ工作でした。今回は、袋で作って遊ぶ工作です。 

 「ふくぶくろ」とは?

 日本でいう福袋とは、幸福や幸運が詰まっている袋のことです。その福袋を担いでいるのが福の神である大黒天です。大黒天は米俵と打ち出の小槌そして福袋と人を幸福にさせる3点セットを持っています。人が幸せになるものが入った袋という点では、サンタクロースの袋もまた福袋といえるかもしれません。正月に販売される「初売りの福袋」は、袋の値段よりも高価なものが入っているけど欲しいものが入っているとは限らない、運試しの気分が味わえる福袋です。
 ジャムさんちの「ふくぶくろ」の「福」は幸福の「福」であり、着ることのできる「服」でもあります。袋をリサイクルして洋服に変身させれば、家族みんなで着て楽しむことができます。この洋服を作るのに針や糸で縫う必要はありません。ハサミで切り、折り、曲げて、セロハンテープでとめるだけです。だれでも作れます。
 なぜ家族で工作をして遊ぶのか?家族みんなで楽しむのに特別なものは必要ありません。必要なものは、「家族みんなで遊ぼう」と言う気持ちです。子供も大人も一人一人の個性を尊重し、ほかの人がすることに面白がる心を持つことができれば、年齢に関係なく一緒に遊べるのです。
 大人が子供に何かをさせるのではなく、子供も大人も、それぞれに自由な発想で遊ぶことが大切です。作品の完成度はどうでもよいのです。むしろ作る過程を楽しむことができれば、家族で喜びを共有することができます。
 ジャムさんちの家族は、好奇心と真心と遊び心にあふれているので、身近なもので楽しく過ごすことができるのです。
みなさんも袋を変身させて家族みんなで楽しんでみませんか?
 最後になぜ福袋というタイトルの絵本を思いついたかについてお話します。
 2012年2月東京メトロに乗車した時に偶然見つけた福袋がありました。それは中刷り広告でした。東日本大震災から約一年が経過して、福島県が「福島からありがとう」キャンペーンの広告を出しました。雪の上に巨大な赤い福袋がどかんと座り、その周りに牛馬犬と多くの人が並んで手を振っていました。この福袋には何がつまっているのか?きっとお金では買えない福島の人達の感謝の気持ちがつまっているのだろうと思いました。福島県の感謝の福袋です。
 工作遊びを表現するにあたっては、ただの工作本ではなく、家族で楽しめる物語のある絵本にしたいと、当初から思っていました。この赤い福袋を見た瞬間にひらめきました。大切な人の気持ちがつまった「ふくぶくろ」は、家族が大切にしたいものを表現するのにぴったり合うと感じました。
 空っぽの袋で何を作るのか?そこに何をつめるのか?みなさんもジャムさんちのように楽しんでいただければ幸いです。